令和8年6月28日、藤枝グランドボウルにて、静岡県ボウリング連盟様主催のアンチドーピング研修を実施させていただきました。
会場となった藤枝グランドボウルは、地域の皆さまに長く親しまれてきた老舗ボウリング場です。競技者だけでなく、子どもから大人まで多くの方がボウリングに親しんできた場所で、今回このような研修を実施できたことにも大きな意味を感じています。
今回で2回目の開催となります。
前回の研修を受講した連盟の皆さまから、
「これは選手や指導者だけでなく、保護者を含めた多くの関係者が聞いた方がいい内容だ」
と感じていただいたとのことで、今回は競技者だけでなく、保護者や指導者の皆さまにもご参加いただきました。
また、前回の研修にも参加してくださった選手の皆さんが、
「前回のこと、覚えています!」
と声を掛けてくださり、継続して取り組むことの大切さを改めて感じる機会にもなりました。
国民スポーツ大会を目指す選手、そして未来を担うジュニア選手へ
今年は国民スポーツ大会をはじめ、ドーピング検査の対象となる大会への出場を控える選手に加え、これから競技を支えていくジュニア選手の皆さんにも参加していただきました。
アンチドーピングは、トップアスリートだけが知っていれば良いものではありません。
競技を続けていく中では、風邪をひいたり、痛みが出たり、サプリメントを利用したりと、薬や健康食品に関わる場面は誰にでも訪れます。
だからこそ、競技レベルに関係なく、早い段階から正しい知識と判断力を身につけておくことが大切です。
アンチドーピングの基本を学ぶ
今回の研修では、まず前半でアンチドーピングの基本的な考え方についてお話ししました。
アンチドーピングは、単に薬のルールや禁止物質を覚えるためのものではありません。
その前提には、選手一人ひとりの権利を守るという大切な考え方があります。
選手には、公平で公正な環境でスポーツに参加する権利があります。
また、自分の心と身体を守りながら、安心して競技を続ける権利があります。
いわゆるクリーンスポーツに参加する権利です。
そして、その権利が守られるためには、選手自身にも果たすべき責務があります。
その責務を具体的なルールとして示しているものの一つが、アンチドーピングのルールです。
つまり、アンチドーピングは選手を縛るためのものではなく、
選手の権利、健康、そして競技の公平性を守るために存在しています。
また、うっかりドーピングは特別な場面だけで起こるものではありません。
体調不良時の薬、痛み止め、風邪薬、サプリメントなど、日常の選択の中にもリスクは潜んでいます。
だからこそ、競技者本人だけでなく、保護者や指導者も含めて、
- アスリートであることの自覚
- 確認・相談すること
- 自己判断だけで進めないこと
を共通認識として持つことが重要であることをお伝えしました。
ドーピンガーディアンで“うっかりドーピング”を体験する
講義の後は、うっかりドーピング防止カードゲーム 「ドーピンガーディアン」 を体験していただきました。
ドーピンガーディアン体験では、疑似体験とはいえ、参加者自身に“うっかりドーピング”が起こり得る状況を体験してもらいます。
ゲームでは、薬やサプリメントを選ぶ場面や体調を崩した場面など、実際に起こり得るケースを参加者同士で考えながら進めます。
その中で学んでもらう大切なポイントの一つが、アンチドーピングの大原則でもある、自分が摂取したものに対する自己責任の原則です。
「知らなかった」
「大丈夫だと思った」
「人に勧められたから」
では済まされない場面が、スポーツの世界にはあります。
だからこそ、
「迷ったらどうするか」
「誰に相談するか」
「どのように確認するか」
を、ゲームの中で自分ごととして考えてもらいました。
知識として聞くだけではなく、自分自身で判断し、仲間とコミュニケーションを取りながら体験することで、アンチドーピングをより身近なものとして理解していただきました。
ゲームで体験した「確認する」「相談する」「責任を持って選択する」という考え方を、その後のスポーツ薬学や医薬品適正使用の話へつなげることで、アンチドーピングを競技だけの知識ではなく、日常の健康管理にも活かせる学びとして位置づけました。
スポーツ薬学から医薬品適正使用へ
研修の後半には、アンチドーピングの考え方を競技現場だけで終わらせるのではなく、スポーツ薬学と医薬品適正使用へとつなげるお話をしました。
薬やサプリメントを適切に使うことは、ドーピング違反を防ぐだけではありません。
不要なコンディション低下を防ぎ、本来のパフォーマンスを維持・向上させることにもつながります。
さらに近年は、十分な知識がないまま使用したものが、結果として違法薬物事案につながってしまうケースも全国的に問題となっています。
SNSやインターネットの情報だけを信じてしまったり、知人から勧められた製品を安易に使用してしまったりと、「十分に確認しないまま使ってしまう」ことが大きなリスクにつながるケースも少なくありません。
このような背景は、うっかりドーピングにも共通しています。
だからこそ、アンチドーピングで身につける「確認する」「相談する」「正しい情報をもとに判断する」という習慣は、競技だけでなく、医薬品適正使用や薬物乱用防止にもつながる大切な考え方です。
アンチドーピングは、競技だけのものではない
アンチドーピングは、違反を防ぐためだけの活動ではありません。
公平・公正な競技環境を守ること。
自分自身の健康を守ること。
そして、安心してスポーツを続けられる環境をつくること。
その価値は競技スポーツだけにとどまらず、地域の健康教育や医薬品適正使用教育にも活かすことができます。
今回、選手だけでなく保護者や指導者の皆さまにも一緒に学んでいただけたことで、競技者を支える環境全体でアンチドーピングへの共通認識を深める機会になったと感じています。
最後に
前回の研修を覚えていてくださる選手がいたこと、そして今回は保護者や指導者の皆さまにもご参加いただき、競技者を支える立場も含めて一緒に学んでいただけたことを大変嬉しく思います。
これからもスポーツファーマシーとして、アンチドーピングを入口に、スポーツ薬学、医薬品適正使用、薬物乱用防止、そして地域の健康教育へと活動を広げていきたいと考えています。
静岡県ボウリング連盟の皆様、ご参加いただいた選手・指導者・保護者の皆様、このたびは貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
アンチドーピング研修・講演のご依頼について
みどりや薬局では、スポーツ団体、学校、教育機関、自治体、企業、薬剤師会などを対象に、アンチドーピング研修やスポーツ薬学に関する講演を行っています。
また、体験型教材 「ドーピンガーディアン」 を活用した研修や、スポーツの価値を基盤とした医薬品適正使用教育・薬物乱用防止教育など、対象や目的に応じたプログラムをご提案しています。
競技者だけでなく、保護者・指導者・学校関係者を対象とした研修も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。


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