令和8年3月24日(火)、至学館大学 栄和人記念レスリング場にて、
至学館大学とみどりや薬局のコラボレーションによる、子ども向け体験型イベント「クリーンスポーツ×薬育教室」を実施しました。
本イベントは、愛知・名古屋で開催が予定される第20回アジア競技大会/第5回アジアパラ競技大会を契機に、
みどりや薬局が取り組む SFT事業 の一環として実施したものです。
スポーツを通じた国際貢献や、国内でのリテラシー向上を目指す中で、今回はアンチドーピングを入口に、「公平性」や「自分の体を守る行動」といったスポーツの価値を地域の子どもたちに届けることを目指しました。

開催概要
- 日時:令和8年3月24日(火)18:30〜19:30
- 場所:至学館大学 栄和人記念レスリング場
- 対象:至学館レスリングクラブの小中学生、及び保護者
- 共催:至学館大学/みどりや薬局
- 運営・指導者:
- スポーツ薬剤師:多田敬典先生(至学館大学 栄養科学科 教授)、清水雅之(みどりや薬局 代表社員)
- 至学館大学レスリング部:ヘッドコーチ 川瀬克祥氏/コーチ 土性沙羅氏
- 至学館大学・至学館高校レスリング部員、卒業生、薬剤師、栄養科学科の学生 など
- 目的:
- 次世代アスリートが、食事・サプリメント等の摂取について「自分で判断し、相談する力」を養うこと
- アンチドーピング教材「ドーピングガーディアン」を活用した体験型授業を通じて、次世代アスリートにクリーンスポーツ教育を届けること
なぜ「クリーンスポーツ × 薬育」なのか
──アンチドーピングは“禁止の勉強”ではなく、価値を学ぶ入口
今回のイベントのテーマは「クリーンスポーツ」です。
ここでいうクリーンスポーツは、単にドーピングをしないという意味だけではありません。
- ルールを守って競技に臨むこと
- 相手を尊重して戦うこと
- 自分の体を大切にし、責任ある選択をすること
- 迷ったときに、信頼できる人に相談できること
こうしたスポーツの価値(フェアプレー、公平性、相互理解、自己管理、相談・連携)を、日常でも使える形で身につけていくこと。
それが、私たちが目指すクリーンスポーツ教育です。
そしてこの価値は、競技者だけのものではありません。
子どもたちが日常で直面する
「飲んでいい?」「これ大丈夫?」「どう選ぶ?」
といった場面——つまり薬との付き合い方(薬育)に、まっすぐつながっています。
薬育は、薬の名前を覚えることが目的ではなく、
自分の体に入るものを“確認して選ぶ”姿勢や、
一人で決めずに相談する行動を育てることが本質です。
だからこそ、クリーンスポーツと薬育は相性がいい。
今回の教室は、この接点を「説明」ではなく「体験」として子どもたちの手に渡すことを目指しました。
メダリストの言葉が、子どもたちの“聞く姿勢”を変えた
今回の教室では、リオ五輪金メダリストであり、至学館大学レスリング部コーチでもある土性沙羅さんを迎え、トークセッションを行いました。

国際舞台で戦ってきたトップアスリートだからこそ語れるのは、
「勝つために何を食べるか」だけではなく、
“自分の体に入るものをどう考えるか”という、とても本質的な視点です。
薬、エナジードリンク、サプリメント。
どれも身近で便利なものですが、使い方や選び方を誤ると、
思いがけずうっかりドーピングにつながってしまうこともあります。
だからこそ、
「大丈夫だろう」と自己判断するのではなく、
気になるときには信頼できる人に相談すること、
そして普段から自分の体に入るものに関心を持つことが大切です。
土性さんの話は、そうした意識を子どもたちにもわかりやすく伝えてくれるものでした。
特に印象的だったのは、子どもたちが途中から身を乗り出すように話を聞いていたことです。
「トップ選手でも、そんなふうに気をつけてるんだ」といった空気が会場に生まれ、保護者の皆さまも深くうなずきながら耳を傾けていました。
“すごい選手の話”として聞くのではなく、自分たちにも関係のある話として受け取っていたことが伝わってきました。

また、当日サポートスタッフとして関わっていた至学館大学レスリング部員にとっても、
メダリストの話は自分自身の競技生活や後輩への関わり方を考える上で、実感のこもった学びになっていたように感じました。
ドーピングガーディアンで、子どもたちが“ルールの中で戦う”面白さを知る
トークの後は、アンチドーピング教材 「ドーピングガーディアン」 を使った体験型セッションへ。
ここから会場の空気は、学ぶ場でありながら、ぐっと“勝負の場”にも変わっていきました。

子どもたちのグループには、至学館大学・至学館高校のレスリング部員や卒業生が入り、一緒にプレイ。
ふだんのレスリングでは、まだ到底かなわない相手です。
それでも、このゲームの中では事情が少し変わります。
勝負するのは体の強さではなく、
ルールを理解し、情報を整理し、どう判断するかという力です。

子どもたちは、大学生たちと同じテーブルで真剣に考え、
ときに勝ち、ときに負け、
悔しがったり喜んだりしながら、コミュニケーションそのものを楽しんでいました。
実際のプレイ中には、大学生部員が「これ、飲んで大丈夫かな?」とあえて問いかけると、子どもが「一回、薬剤師さんに聞いたほうがいい!」と即答する場面もありました。
そのやり取りに周囲から笑いが起きつつも、“迷ったら相談する”ことが自然な行動として共有されていたのが印象的でした。
そこに薬剤師や栄養科学科の学生がファシリテーターとして入り、
ゲームの中で起きた選択や迷いを、実際のアンチドーピングの考え方や事例に結びつけていきます。
「それって本当に大丈夫?」「迷ったらどうする?」
そんな問いを挟みながら進めることで、
体験がそのまま“現実につながる学び”になっていきました。

単にルールを教わるのではなく、
ルールの中で考え、戦い、相談することの意味を体で理解する。
ドーピングガーディアンの時間は、まさにそんな場になっていたと思います。
アスリート×地域の薬剤師で「価値」を届ける
今回の教室で最も大きかったのは、
アスリートの経験と言葉、そして地域の薬剤師の専門性が組み合わさり、
子どもたちに クリーンスポーツの精神と健康行動(薬との付き合い方) を同時に届けられたことです。

当日は、至学館大学レスリング部の部員たちも、単なるサポートスタッフとして関わるのではなく、
自分たちが日々の競技生活の中で感じていることや、実際に気をつけていることを、子どもたちの前で自分の言葉で伝えてくれました。
トップレベルを目指して競技に向き合う中で得た経験や知識は、本来その選手自身の中に蓄積されていくものですが、
それを地域社会に向けてアウトプットすることには、大きな意味があります。

アンチドーピングは、ルールを覚えることがゴールではありません。
関わる人同士がコミュニケーションを取り、同じ前提で競技に向き合える環境をつくっていく。
その積み重ねが、クリーンスポーツを「文化」として根付かせていくと考えています。
今回の取り組みでは、地域の薬剤師が薬や健康の視点を支え、
アスリートが競技の現場で培った実感を伝えることで、
子どもたちは「知識」と「実感」の両方に触れることができました。
アスリートが地域の薬剤師とともに、アンチドーピングを入口として
スポーツの価値・健康・クリーンスポーツの精神を地域に届ける。
そして、競技の中で得たものを競技の外へ返していく。
今回の取り組みは、その可能性を具体的に示すものになったと感じています。
最後に:愛知アジパラを契機に、地域へ残るモデルへ
愛知・名古屋アジア競技大会/アジアパラ競技大会を契機に、
次世代へクリーンスポーツの価値を残すことは、地域にとって大きな意味があります。
今回の至学館大学×みどりや薬局の取り組みは、
クリーンスポーツ×薬育を“体験として届ける”実践モデルのひとつになり得ると感じています。
特に印象的だったのは、
将来アジア大会出場を目指すようなレスリング部員たちと、地域の子どもたちが、同じ場でクリーンスポーツを学び合っていたことです。
トップレベルを目指すアスリートが、その経験や価値観を地域に還元し、
それを受け取った子どもたちがまた次の世代のスポーツ文化をつくっていく。
その循環こそが、大会を契機に地域へ残していくべきレガシーのひとつだと思います。
ご協力くださった土性沙羅さん、至学館大学関係者の皆さま、レスリング部・栄養科学科の学生の皆さま、有志スポーツファーマシストの皆さま、そして参加してくれた子どもたちと保護者の皆さまに、心より御礼申し上げます。
この取り組みをロールモデルとして、今後も地域・学校・チームと連携しながら、
スポーツの価値を基盤とした体験型薬学教育をさらに広げていきます。

お問い合わせ(実施をご検討の方へ)
本プログラム「ドーピング妖怪のお薬教室」は、みどりや薬局が企画・考案を担当している体験型の薬学教育コンテンツです。
教育機関(小学校〜高校)、学童・放課後支援、スポーツ団体、地域イベントなど、実施先の目的や年齢層、時間枠に合わせて内容をアレンジして実施することが可能です。
「うちでもやってみたい」「まずは話を聞いてみたい」という教育機関・団体の方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。


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