2025年5月17日、公益社団法人 鹿児島県薬剤師会にて、スポーツファーマシスト向け研修の講師を務めさせていただきました。
今回の研修では、スポーツファーマシストの専門性を活かし、地域とスポーツの両面から健康を支える取り組みについてお話しするとともに、うっかりドーピング防止カードゲーム「ドーピングガーディアン」を使った体験会も行いました。
講演テーマ:「スポーツと地域に寄り添う薬剤師の現在地」
講演では、まずスポーツファーマシストとしての基本的な知識と実務について、特にアンチドーピング対応の基礎と実際の判断プロセスについて説明しました。
禁止表やTUE(治療使用特例)の制度だけでなく、どのような場面で薬剤師がアスリートの判断を支えるか、具体的な相談例を交えながら紹介しました。
そして今回の大きなテーマである「地域とのつながり」については、私自身が日々取り組んでいる、薬局での実践とスポーツチームとの協業活動を中心にお話ししました。
たとえば、みどりや薬局では、地域のスポーツチームとの連携による健康支援、若年層への啓発活動、薬物乱用やうっかりドーピングに関する教育イベントの開催など、スポーツファーマシストの視点を地域に持ち込むことで、薬剤師としての新しい役割を創出してきました。
こうした実践を通じてお伝えしたかったのは、「スポーツファーマシスト=アスリート専門」ではなく、薬剤師の職能をスポーツを軸に地域全体へ波及させていく視点がいま求められているということです。
参加者の皆さんからは、「自分の薬局でもできそうな取り組みが見えた」「地元のクラブチームと連携してみたい」といった声もあり、今後の地域薬剤師会活動の新たな切り口になることを期待しています。
体験会:「ドーピングガーディアン」で“うっかりドーピング”を自ら体感
研修後半では、カードゲーム型教育ツール**「ドーピングガーディアン」を用いた体験型セッションを実施しました。
このゲームは、プレイヤーがアスリートとして練習を積み、サプリや医薬品を使いながら大会を目指す中で、「その薬、使ってもいいの?」というドーピングリスクの判断を迫られる設計**になっています。
参加された薬剤師の皆さんには、
「安全そうに見えて実は危険だった薬」や「確認不足で禁止物質を使ってしまった」など、リアルな判断ミスを体感していただきました。
特に印象的だったのは、薬剤師の皆さん自身が「これは判断が難しい」「一般の人なら確実にうっかりしてしまう」と実感されていた点です。こうした気づきは、支援者としての薬剤師に必要な“疑似的な当事者経験”となり、今後の指導や啓発活動にも確実につながると感じています。
鹿児島の薬剤師の皆様ありがとうございました。
今回のような体験型研修は、単なる知識の伝達にとどまらず、参加者同士の対話や実践的な気づきを引き出す場として大変意義深いものでした。
薬剤師が持つ専門知識や判断力は、競技現場におけるアスリート支援だけでなく、地域社会の健康リテラシー向上や薬物乱用防止教育にも貢献できるということを、より多くの方に実感していただけるよう、今後も発信を続けていきたいと思います。
鹿児島県薬剤師会の皆さま、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
これからも、薬剤師の専門性を活かした地域支援と、スポーツとの架け橋としての役割を果たしてまいります。
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